インタビュー
【宿で働く人インタビュー】 旅館やホテルを元気に。お客様にも働く人にとってもいい宿を 株式会社咲楽 代表取締役社長 高橋祐一さん
2026.04.09
「四万(よんまん)の病を癒す霊泉」であるとする伝説がその名の由来となっている四万温泉。そんな四万温泉の鹿股川沿いにある柏屋旅館で料理長を務めるのが唐澤さん。料理人歴は約40年という大ベテランです。こちらの料理長としては5~6年目ということですが、それまでもいくつかの旅館などで調理場の仕事をし、経験を積んでこられたそう。
まずは料理長の仕事について教えていただきました。
「料理を作るのはもちろんですが、メニューを考えたり、そのための食材の調達をしたりするのも料理長である自分の仕事です。決められた予算の中でいかに旬の食材を取り入れられるのかが重要。メニューはだいたい3か月ごとに変わりますので、その時の旬の野菜を入れながら肉や野菜を組み合わせて考えていきます。ニンジンひとつにしても、やはり地元の旬のものは甘みが強くて味が濃いんですよね。しかも季節になるとたくさん出回るので、価格も安い。だからそういったものを多く取り入れたメニュー作りを心掛けています」

唐澤さんの1日は朝の仕込みから始まります。
「通常の仕込みは6時くらいから。自分はちょっと特殊で4時半くらいから調理場に入ります。それから朝食の準備をして、その合間に少しずつ夕食の仕込みも進めていきます。朝食が終わって、だいたい9時くらいから買い出しへ」
買い出しから戻ると、そこからは14時か15時くらいまで休憩時間。
「休憩後は夕食の準備と並行しながら翌日の朝食の仕込みもします。夕食が始まる18時頃からが忙しさのピークです。仕込みやある程度の調理はしてありますが、温かい料理をできたてで提供できるようにしています。そして、仕事が終わるのがだいたい20時から21時くらいになります。その日のことをその日やるのでは間に合わなくなりますので、だいたい3日分くらいの料理のことを考えながら、食材を仕入れたり、準備をしたりしているという感じですね」
また、時には新しいスタッフの教育をすることも料理長の大事な仕事。
「最近はある程度経験のある人が入ってくることが多いので、手取り足取り指導するということはないですね。自分は未経験者も大歓迎。経験がなくても、この仕事で食べていくんだというやる気があって、料理が好きという気持ちのある子が来てくれるのがうれしいです」

そもそもこの道に進んだきっかけは、親兄弟に料理人がいて、それが大きかったと言います。
「勉強が苦手だったこともあって、専門学校に進んで調理師免許を取得しました。自分ではあまり思ったことがないんですが、人には手先が器用と言われることが多くて、そういう面ではこの仕事に向いていたのかもしれません」
そんな唐澤さんがこの仕事にやりがいを感じるのはどんなときなのでしょう。
「やっぱりお客様においしいと言っていただけるのが、一番うれしいです。普段は調理場にいてお客様と接する機会はほとんどないのですが、配膳のスタッフにお客様の反応などを教えてもらうことができるので。あとは、以前に勤めていた旅館のお客様が自分が辞めたことを知って、わざわざ探してこの宿に泊まりに来てくださったことがあるんです。そのときもうれしかったですね」

逆にこの仕事の大変な点についてもお伺いしました。
「長くこの仕事をしていますが、自分は今までやってきて大変だと思ったことはないです。今はそんなことはないですけど、昔は忙しい時は徹夜したりなんてこともありました。性格的に適当な仕事をするのは嫌なんですよね。そんな仕事をして恥ずかしい気持ちで旅館の中を歩きたくないと思うので。なので、大変でも忙しくても納得できるような、旅館の中を胸を張って歩けるような仕事をしたいと思っています。そうやって打ち込める好きな仕事をさせてもらって、給料をもらって、ありがたいなという感覚の方が大きいですかね」
ただ、辞めてしまう若いスタッフを見ると、その気持ちがわかる部分もあるのだとか。
「やっぱり休みを友達と合わせるのも難しいでしょうし、仕事終わりが20時過ぎとなると飲みに行くというのも難しいかもしれません。あとは、旅館の仕事の場合、どうしても朝食終了後、夕食準備前までに4~5時間程度の長い休憩が発生します。いわゆる『中抜け』ですね。それを有意義に過ごせないと、この仕事は続かないかもしれません」
唐澤さん場合、休憩時間は自宅に戻り家の仕事をしているのだとか。
「自分で田んぼや畑をやっているので、帰って畑仕事をちょっとしてまた戻ってくるということができるので、休憩時間を持て余すということはないですね。前にいた若い子はゲームが好きで、休憩時間はずっとゲームができていいなんて言っていました。そういう熱中できる趣味があればいいんですが。それにここは近くに遊びに行ける場所もありませんからね。もし自分がそういう環境が難しいと思うなら、調理場でも3交代制などを取る施設を選んだり、周囲に遊べる場所がある立地の施設を選んだりするといいと思います」
最後に宿泊業界で料理の仕事がしたいと思っている人へのアドバイスをいただきました。

「調理の経験を積みたいのであれば、働く施設選びは重要です。特に今はいろいろな食材が高騰していて、気軽に新人に食材を使った練習をさせられる状況ではないので…。いろいろと難しいこともあると思います。それでも一からきちんと調理をしている施設であれば、先輩の仕事を近くで見ることができ、自分でもやらせてもらえるチャンスはあります。逆に大きな施設でも、今はある程度仕込みができた状態の食材を仕入れる施設も増えています。そういったところでは一から調理の腕を磨くのは難しいかもしれません。一から教わりたいのか、もしくは料理に関わる仕事ができれば十分なのか、どんな風に働きたいのかを頭に入れながら、見極めるといいと思います」
また地域によって扱う食材が違うので、そういった希望があればそれも考えて場所選びをした方が良いとのこと。
「やっぱり魚を覚えたいなら海の近くがいいです。いろいろな食材に触れたいなら海も山も、いろいろなエリアで働いてみるのもいいと思います」
未経験でもやる気があるのであれば、ぜひどんどん飛び込んできて欲しいと唐澤さん。
「経験者は即戦力で働いてもらえるんですけど、やる気が大事だと思うんで、未経験だったり、資格を持っていなくても臆せずぜひチャレンジしてほしいです。資格は働きながらでも取れますし。素直に動けることが重要だと思いますので、周りを見て学びながら、どんどん吸収していってほしいなと思います」
未経験でもやる気さえあれば歓迎してもらえそうな宿泊施設の調理場の仕事。興味があればぜひ求人をチェックしてみてくださいね。
「やっぱり業界の底上げをしたいなというのがあります。ほかの施設でも、本当はこうしたいんだけどできない…みたいなことがあると思うんですよね。まずはここがお手本になれるような施設作りを目指していきたいなと思っています。あとは地域の活性化とペット業界の活性化のお手伝いもできたらいいなと思います」
また身近なところでは、スタッフの成長を見守ることも、この仕事の楽しみの一つだと言います。
「何もわからなくて入ってきた子が、いろいろ学んですごくいい接客ができるようになって、お客様に『あの人がいるからまた来ます』と言われるようなところまで成長するんです。そんな姿を全部見られるわけではないですけど、見守ることができるというのもこの仕事の醍醐味だと思います」
なかなか知ることのできない宿の支配人のお仕事について、いろいろ教えていただきましたが、いかがでしたか? 将来的に宿泊施設の運営や経営などにも携わってみたいと思うなら、ぜひ参考にしてみてください。
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