旅館
旅庵 川喜
北アルプスのふもとで、 地元と育てる癒しの宿
- 支配人
- 調理人/厨房
長野県大町市平2860-1
掲載期間2025.12.12〜2026.12.31
本日は、長野県・大町温泉郷にある「旅庵 川喜」にやってきました。施設へ向かう途中、まず目に飛び込んできたのは、うっすら雪化粧をまとった壮大な北アルプスの山々。その景色に思わず足を止めてしまうほどでした。
澄んだ空気と、山々に包まれるような静けさ。北アルプスのふもとに広がる温泉街はどこか懐かしく、歩いているだけで肩の力がふっと抜けていくような心地よさがあります。今回伺った、京都に本社を置く株式会社川喜商店が運営するこの旅館は、その土地の空気をまるごと抱き込んだような、やわらかな雰囲気に満ちていました。木の温もりが息づく館内には、時間がゆっくりと流れ、思わず深呼吸してしまうような静かな落ち着きがあります。

みんなでつくる旅館をめざして
地域と旅人をつなぐ宿へ
京都で1968年に創業した「川喜商店」。その四代目であり、現在代表取締役を務める川面喜昭(かわつら よしあき)さんは、どんな想いでこの宿を運営しているのかお話を伺いました。

まず、株式会社川喜商店の成り立ちをお聞きしました。
「もともとは材木屋でした。でもバブルの頃に資金繰りが厳しくなり、父が『このままじゃ続かない』とホテル業へ転換したんです」
当時中学生だった川面さんは驚きつつも、
その大胆さに強く影響を受けたと言います。
ホテルは1997年に京都市中京区堀川通で開業し、25年続きましたが、
2023年に売却する決断をしたそうです。
「外資も増えて競争が激しくなって、さらにコロナで売上が一気に下がりました。設備も老朽化して、この先を考えると“いま決断すべきだ”と感じたんです」
そんな時に、ここ「旅庵 川喜」との出会いがありました。
「父と一緒に見に来たら、木の温もりや雰囲気がすごく良かったんです。この静けさの中でだったら、新しいことができると思ったんです」
こうしてこの施設を購入し、2024年10月5日に開業しましたが、
実際に旅館の運営を始めてまず感じたのは、ホテルとの違いだったそうです。
「ホテルは部署が分かれていて、お客様との距離も一定。でも旅館は“家に迎え入れる”ような接客。距離が近いぶん難しいけれど、そのぶん関係が深くなるのが魅力なんです」
この施設の客室は5室なので、距離感は近そうですね。
スタッフには70代の方も多いとか。
「みなさん本当に元気で、長く働ける場所があるのは大事なこと。若い人ばかりじゃなく、70代が活躍できる職場をつくりたいんです」
皆さんで野沢菜漬けを仕込む作業、とても楽しそうでした!
旅館造りで特に力を入れたいのが『食』だと話します。
「地元の農家さんがたくさんいるので、売れない野菜を仕入れたり、その家に昔からある味を再現したりできる。旅館の“板前の味”じゃなくても、地元の温かい料理が一番安心につながると思うんです」
そこで、料理へのこだわりについても尋ねてみると、
川面さんはこう答えてくれました。
「私としては、地産地消の食を“体験”として楽しんでいただきたいんです。地元の農家さんがどんな想いで農作物を育てているのか、その背景も含めて、料理という形でお客様に届けたいと思っています」
「体験」という言葉は、川喜の運営面において
とても大切にしているそうです。
「泊まるだけじゃなくて、おやきを焼いたり、お茶を点てたり、家族で楽しめる時間を作りたいんです。ホテル時代も新しいイベントを仕掛けるのが好きで、お化け屋敷をやったこともあるんですよ。最初は周りにすごく反対されましたけど、結果的にお客様がとても喜んでくれました!」
最後に、今後つくっていきたい旅館の姿を聞きました。
「ただ“普通の旅館”を普通に運営するだけでは面白くないんです。ここを訪れる理由、そしてまた帰ってきたくなる理由をつくりたいと思っています。静かな山あいの空気の中で、文化や歴史、芸術に触れながら本を読む時間や、食を通じた交流など、ここならではの仕掛けをこれからも少しずつ増やしていきたいですね」
「ここ“川喜”を、この地域のアイコンにしたいです。一緒に旅館をつくってくれる仲間に出会えたら嬉しいですね!」
川面さんの言葉から伝わってきたのは、『旅館をみんなで育てる楽しさ』。経験よりも、
人と地域と向き合う姿勢を大切にしている人でした。
静かな土地で、新しい“体験型の旅館つくりに挑戦したい方に、
ぜひおすすめしたい職場です。
大町の恵みを“美・健康・癒し”に変える
ホテルから旅館へ続くキャリアの歩み
次にお話を伺ったのは京都のホテルやリゾートホテルなどで
フロントとしてキャリアを積んできた、大越 奈津美さんです。
※お顔がわかる写真の掲載は控えております。
現在は川面社長のエグゼクティブアシスタントとして、旅館のコンセプトづくりや運営に携わっています。誰よりも“お客様として旅館を愛してきた”大越さんが、働く側に立って見えたこと、そしてこの場所で実現したい未来について語ってくれました。
(株)川喜商店に入社されたのはいつ頃ですか?
「入社してもう8〜9年くらいになりますね。入社前は京都のホテルで働いていました」
ずっと宿泊業一筋なんですね。
「はい。もともとシティホテルの優雅で落ち着いた雰囲気に憧れて入ったんですけど、実際の現場はその雰囲気とは真逆でしたね(笑)。とにかくスピード勝負で、大変でした。それでも体育会系のノリでパワフルな先輩たちに引っ張られながら続けてきた感じです」
体育会系というと少し厳しいイメージを持たれることもありますが、
実際にはチーム全体が一丸となって動く、とても前向きで
一体感のある雰囲気だったそうです。
どうして川喜商店へ転職されたんですか?
「家庭の事情もあって、もう少し働き方を調整できる環境を探していたんです。仕事の厳しさは変わらなかったですが、お休みは取りやすくなり自分の働き方は変わりました」
今はエグゼクティブアシスタントとして働かれているんですね。
「はい。現場というより、コンセプトづくりやマーケティング、予約管理など、運営全体を支える役割が多いです」
今までのホテルと形態が違う旅館で働くこと自体は、
どう感じました?
「正直、旅館に行くのは大好きなんですけど、働くのは無理と思ってました(笑)。接客の幅が広くて奥深いんですよね。でも今は『どうすればもっと居心地よくできるか』を考えるのが楽しいです」

マーケティング業務は初めての経験だそうですが、
旅館のコンセプトは大越さんのアイデアなんですよね。
「そうなんです。『美・健康・癒し』をテーマにしています。菜食料理や地元の野菜を使ったメニューもその一つです。この施設に滞在していただき、“心と身体”を整える体験になるように考えています」
月に何回か現地に来た際には、地元の事業所や生産者を巡って
お話を伺うのが、今はとても楽しいそうです。
では、今後実現してみたいことはありますか?
「ロビーに健康や癒し、美に関する本や絵本などを置いて、“コンセプトに合う空間づくり”をもっと深めたいですね。まだ道半ばですが、少しずつ形にしたいですね」
最後にどんな方がこの職場に向いていそうですか?
「やっぱり女性目線が活きる場面が多いですし、旅行先を決めるのも女性が多いので、“美や癒し”に興味のある方が活躍しやすいと思います。ホテル経験者で、コンセプトに共感してくれる方だと特に嬉しいですね」
スタッフ一人ひとりのアイデアが形になりやすいのも、この会社の魅力だそうです。
宿泊業やサービスづくりに興味がある方、女性目線を活かして働きたい方、
地元の良さを伝える仕事がしたい方には、きっと居心地の良い場所になるはずです。
山里の旅庵で見つけた
自分らしいおもてなしの形
最後に登場したのが、開業当初から働く藤澤 浩子さんです。
生まれは長野県南部の伊那市、現在は池田町に暮らしながら旅館に通っています。
静かで美しい山々に囲まれたこの地で、藤澤さんはどんな想いで仕事に向き合っているのでしょうか。
「出身は長野県なんですが、北と南では言葉も文化も全然違うんですよ」と笑う藤澤さん。
山に囲まれていても、松本と長野が“仲が悪い”という県民あるあるには「みんな仲良くすればいいのにって思います」と柔らかい声で話してくれました。
川喜には2025年の8月に入社されました。
学生時代の就職先は製造業。「宿泊業への興味はあったけど、安定を優先して」と選んだ仕事でした。それでも思い切って飛び込んだのは20代前半。『やりたいことは一度は経験したい』という気持ちが背中を押しました。
その後、観光ホテルで2年間働き、結婚や家庭の事情で一度宿泊業を離れます。
カーディーラーで受付事務を経験しながらも、いつかまた“人と接する仕事”に戻りたいと
感じていたそう。そして巡り会ったのが、「旅庵 川喜」でした。
『旅館業は面白いところですか?』と尋ねると、
藤澤さんは少し照れながらこう答えてくれました。
「妄想癖があるんです。お客様がいない時間でも“こんなことしたら喜んでくれるかな”って自然と考えちゃうんです(笑)。」
実際、旅好きのご夫婦から『こんなサービスがあったらいいね』とアドバイスをもらったことがあり、「外から来た人だからこそ気づく魅力を教えてくれる」と、新しい発見につながっていると言います。
一方で、宿泊業は“きつい”“休めない”というイメージもつきもの。
その点について聞くと、藤澤さんは首を振ります。
「川喜は週に2日の休館日があるんです。水・木は完全休館なので、心も体もリセットできます。シフトも無理のないように組んでくれるので、“ずっと張りつめて働く”という感じではありません」
週に2日も休館日があるのは珍しいですね。
社長の川面さんについて尋ねると、「穏やかで話しやすい方です」と即答。
「私たちの意見も聞いてくれるし、裏でいろんなことを考えて動いてくれているのがわかる方。だからこそ私も応えたいんです」と言葉に力がありました。
現在の業務は、フロント、事務、接客、料理、清掃までマルチに活躍され、
ホテルでの経験も活かしつつ、旅館ならではの“お客様との近さ”にも心地よさを感じているそうです。
「ホテルは一定の距離感を大事にする場所。でも旅館は、お客様ともっと近い。浴衣姿で『お風呂気持ち良かったです』って、話されて素顔のまま過ごされるので、会話も自然と増えます。だから私も歩く速度をホテル時代よりゆっくりにしました。ここに合う雰囲気で接したいなって思って」
さらに藤澤さんは、自身の好きなハーブティーやアロマを活かした新しいアイデアにも挑戦したいとのこと。「女性だからこそ気づける“癒やし”をもっと形にしたい」と語る姿が印象的です。
最後に、「どんな方に来てほしいですか?」と聞くと、こう返ってきました。
「宿泊業って大変なイメージがあると思います。でも、その大変さも一緒に楽しめる人、そして“こんなことしてみたい”とアイデアを言える人が向いていると思います。ここは意見が言いやすい環境なので、わからないことは何度でも聞いてください。一人で抱え込むより、みんなで助け合っていければ嬉しいですね」
藤澤さんの言葉から伝わってきたのは、まっすぐで丁寧な“おもてなし”の姿勢でした。
山々に囲まれた穏やかな環境で、人としっかり向き合う仕事がしたい方にぴったりの場所だと感じます。
ここでは、経験よりも「お客様を想う気持ち」と「仲間と一緒に旅館を育てたい」という前向きさが何より大切。
あなたも、これからの「旅庵 川喜」を地域の皆さんと私たちと一緒に創りに来ませんか。
(取材・執筆)水元 勇
もしも、この宿ではたらいたら?
近隣情報
- 家賃相場
- ワンルーム〜1DK(6.8万〜8.1万)
- 買い物
- スーパー(車で6分)、コンビニ(車で4分)
- その他施設
- 病院(6.3km)、歯科(6.1km)、小学校(8.1km)
- 交通情報
- ・安曇野ICから車で40分
・信濃大町駅から車で10分
・バス扇沢行き 大町温泉郷下車
自治体情報
ギャラリー
基本情報
数字で見る
-
平均残業時間
10時間
-
年間休日
105日
-
平均勤続年数
1年
-
年間有給休暇
取得率100%
-
スタッフ数
9名
-
男女比
1 : 2
-
外国籍の人数
0人
-
平均年齢
45.0歳
- 企業名
- 株式会社川喜商店
- 企業所在地
- 〒398-0001
長野県大町市平2860-1 - 施設名
- 旅庵 川喜
- 客室数
- 5
- 従業員数
- 8
- 設立
- 2024年10月5日
- 従業員寮
-
・旅館2階(外部階段より移動可能・屋根付き)、月1万円
-
- 家賃補助
- あり
- アクセス
-
よくある質問
社員寮はありますか?何部屋ありますか?
はい、旅館の2階にあります。合計4部屋あり
ユニットバスを各部屋に完備しています。