旅館
赤城山-懐-futokoro
2025年夏、赤城山に誕生! 愛犬と過ごす古民家リトリート
- 接客/サービス
- 調理人/厨房

本日は、車で関越自動車道から北関東自動車道を経由して約90分。群馬県・赤城山の麓にある旅館を訪れました。
この旅館は、かつて「忠治館」として、100年以上にわたり岡田さんご一家によって大切に守られてきました。しかし、運営を続けるなかでご家族の高齢化などの理由から、宿泊業を専門とするコンサルティング会社「株式会社咲楽」へと事業が継承されることに。
そしてこの夏、「愛犬と泊まれる古民家リトリート 赤城山 懐(ふところ)」として、リニューアルオープンする予定です。
ご縁がつなぐ、宿の未来
赤城山の麓で始まる新たな物語
最初にお話を伺ったのは、株式会社咲楽の中原 圭介さんです。
咲楽のメンバーは毎週現地に赴き、現在は施設の皆さんと一緒に、
オープンに向けて準備をしています。
先ほど工事の様子など拝見しましたが、
進捗状況はどうですか?
「まだ2割くらいですかね。食事内容やサービス、オペレーションなど、まだまだ、これからですね」
開業に向けてこれからが本番という感じですね。
ところで、咲楽さんはどのようなきっかけで、
こちらの施設を運営することになったのですか?
「元々、当社が以前からコンサルティング支援をしていた施設さんだったんです。その後、創業家の岡田さんより後継者に関するご相談を受けまして、お付き合いのあるお客様というご縁もあり、弊社にて事業を承継させていただくことになりました」
そんなご縁だったんですね。
創業家である岡田さん一家や、これまで施設を支えてきた料理人の方も、
引き続き残るそうです。
今は開業の準備で色々大変だと思いますが、
開業後もサポートされていかれるのですか?
「宿泊専門のコンサル会社として蓄積してきたノウハウや情報は全て注ぎ込み、全社一丸でバックアップしていきます。ただ、決して上から押し付けるのではなく、現場の皆さんの意見を尊重しながら、それを形にするためのサポート役でありたいと考えています」
これまで120を超える施設に関わってきた咲楽さんが、
サポートしてくれるのは安心できますね。
今後もいい条件があれば、運営施設を増やしていきたいそうです。
戸惑いから始まった新しい挑戦と
変わらぬ心
さて、続いてお話を伺ったのは、この場所で長年愛された旅館「忠治館」の厨房を、
約25年間支えてこられた大塚 健二さんです。
どうして料理の世界に入られたのですか?
「兄が群馬のホテルで和食の料理人をしていたのがきっかけなんです。実は、料理にはあまり興味がなかったのですが、兄が東京に行くことになって、その紹介でたまたま入った感じですね(笑)」
群馬の有名なホテルに高校を卒業して、18歳で厳しい料理の世界に足を踏み入れた
大塚さんは、その道のりで何度も『辞めたい』と思ったそうです。
「最初の板長はとにかく厳しかったです。20歳を過ぎたころ、結構な人が辞めてしまって、私も『一緒に辞めよう』と、誘われましたが、兄の紹介で入った手前、顔に泥を塗るようなことはしたくなかったんです。それに、自分はそこまで実力もついてなかったですしね」
そんな厳しい世界で何とか歯を食いしばりながら、料理の修行をしていた
大塚さんに職場環境の変化が訪れます。
「板長が変わったんです。その2代目の方がすごく良くしてくれて、『失敗してもいいから』と、色々やらせてくれたんです。当時では珍しかったと思います」
こうして31歳までこのホテルで料理人としての基礎を築き、副板長という立場になった時、次の転機が訪れます。
「会社の方針が少しずつ変わり、意見が合わないことも多くなってきて、みんなと話し合って、他に移ることにしたんです。そこでまずは、下のスタッフたちの就職先を優先して探していたら、結局最後は自分一人だけになっちゃいましたが(笑)」
最後まで残った大塚さんは、知人の紹介で
25年前にこちらにやってきました。
長く勤め上げてきた「忠治館」ですが、
咲楽さんに運営が変わると聞いた時はどう感じましたか?
「正直、最初は少しばかり戸惑いがありました。加えて、ワンちゃんと一緒に宿泊できる宿だと聞いて、それはもう、本当にたまげました!」
そうした戸惑いや驚きから、
どのように気持ちを整理されていったのでしょうか?
「自分もワンチャンが大好きだし、以前は飼っていたんです。そういう宿泊施設は、まだこの辺りではないし、それもアリなのかなって」
ワンちゃん、飼われていたのですね。
「この近くで、子犬が5匹くらい生まれたんです。あれは20年前だから、まだ外にいた時代だったんですよね。それで、ある時子供と一緒に様子を見に行ったら、もう2匹しかいなくて。本当は1匹で良かったんですけど、あまりにも可哀想だったので、2匹とも引き取ることにしたんです。」
いきなり初めてのワンちゃんが、多頭飼いなんですね!
「そうなんですよ(笑)。雑種でしたけど2匹とも可愛いヤツでした。これを機にまた飼うかもしれませんね」
今は開業に向けて、どんな準備をされているのですか?
「これから新しい人も入ってくるので、使い勝手の良い調理器具を検討したり、レイアウトも見直して、
動きやすい調理場にするために準備を進めています。あとは、どんな料理を提供するかも、考えています」
厳しい修行時代を経験されてきた大塚さんですが、
どんな職場にしていきたいですか?
「元気よくて、明るい職場にしたいですね。それと、自分が昔やられたことは絶対にしない!自分が教わった板長みたいに、失敗してもいいか、ら色々やらしてあげたいですね。未経験でも全然構わないし、むしろ、その方が素直な感覚で料理に向き合いやすいケースも多いんですよ」
最後にこの近くで育った大塚さんに
赤城の魅力をお聞きしました。
「本当、何にもないし、お店もないし。でも静かなんですよ、あとはこの自然の雰囲気ですかね。」
さっきまで街中を走っていたのに、ちょっと車で上がると雰囲気がガラッと変わりますよね!
なんて言うか、自然界の境界線があるみたいな。
「そうなんですよ。赤城神社を曲がると、空気ががらりと変わるんですよ。雪の降り方も違えば、野生動物が現れたり、晴れた日の星空は息をのむほど美しくて。でも、街までもすぐ近くなので、ネオンが恋しくなったらすぐに足を運べますし(笑)。本当に、ちょうどいい距離感なんです!」
日本を代表する、タオルがトレードマークのロックスターの大ファンだそうで、
去年武道館ライブにも参戦済みとか。もしかしたら今夜あたりは、ネオン街で、
一人武道館状態で熱唱しているかもしれませんね(笑)。
受け継ぐ想い
育む未来
「赤城 懐」の支配人として、今年の3月に赴任したばかりの、
伊藤 貴弘さんにお話を伺いました。
伊藤さんは群馬県渋川市で生まれ、大学進学のため上京し、
学生時代に都内のレストランでアルバイトしたのをきっかけに、
サービス業が面白くなり、そこから様々な経験をされてきたようです。
「『大学卒業後、サービス業を極めたい!』という思いが強く、それならホテルだと考え、スイスのホテル学校へ留学しました。今から25年ほど前になりますが、当時はまだインターネットも普及しておらず、本屋で情報を集めて、現地にFAXで手続きをしていたんです。日本人留学生もほとんどいませんでしたね』」
帰国後にホテルに入ったんですか?
「はい、都内のホテルに勤務した後は、専門学校の講師もしまして、ホテル学を教えていました。
その後は、オーストラリア大使館の執事を務めました」
学校の先生からオーストラリア大使館ですか!
すごい経歴ですね。
「大統領が来た時は専属SPと調整を行うなど、貴重な経験をさせて頂きました」
たくさんの経験をされてきた伊藤さんですが、大使館時代に
違和感を持ち始め、群馬県に戻ることを決意します。
「大使館での仕事は、『自分が笑ってはいけない』、『相手も笑わない』、そんな奉仕活動に違和感を
感じて、子供が生まれたのをきっかけに、群馬県にある旅館に入ることにしたんです」
そうだったんですね。
今回は、どうして「赤城 懐」に入られたのですか?
「運営会社の咲楽の『日本独自の文化である旅館を残す』、『宿泊業を元気にする』、『労働環境を改善する』という考えに共感しました。まずはこの宿を成功させ、将来は咲楽のコンサル業を目指したいです。」
実際、咲楽さんでは運営施設ではたらいていたスタッフが、
コンサルタントとして活躍しているそうです。
ここで、副支配人の篠原 豪さんにも参加してもらいました。
篠原さんも県内の旅館を経て、昨年12月に入社し、
開業に向けて準備を進めてきました。
既存の施設をリノベーションする際の難しさなどはありますか?
「オペレーションの基本があって、それを見直してアップデートすることは、前職の旅館でもやっていたのですが、新しい宿に合う形で構築することは、大変なところもありますけど、楽しみでもあります」
伊藤さんはどうですか?
「開業準備は今回で3度目になります。醍醐味や楽しさがある一方で、やはり恐ろしさも感じますね。今回は咲楽の中原さんがチェックシートを用意してくださり、可視化されているのですが、それでも抜け漏れがないか常に気を配っています。開業の怖さを知っているからこそ、面白さもあり、プレッシャーにもなにもなりますね(笑)」
それだけ経験があっても、やはり開業は大変なのですね。
お二人はスタッフさんたちを、マネジメントする立場でもありますが、
どんな職場にしていきたいですか?
-伊藤さん
「咲楽の企業理念の一つに、『無理せず、全力を尽くす』というのがあるのですが、今、まさに私は子育てを通じてそれを実感しています。自分に余裕がないと、子供に十分な愛情を注ぐことができません。それはお客様に対しても同じで、まずはスタッフが元気で、良い状態でいられる環境を作ることが大切だと考えています」
-篠原さん
「私も咲楽の理念に惹かれたので、以前の職場で実現できなかった理想の形を、一緒にはたらく皆さんと目指していきたいと思っています。そして、この施設の成功事例を、咲楽を通して支援施設にフィードバックすることで、この施設だけでなく、宿泊業界全体に良い影響を与えられる存在になれたら嬉しいです」
咲楽の社員は、事務所に掲げられているこの7つの理念を、
とても大切にしているそうです。
最後に、どんな方に来てもらいたいですか?
-伊藤さん
「私はよく、『映画を見て泣きますか?』って聞くんですけど、他の人に感情移入ができたり、感動できたりする人に来て欲しいですね」
-篠原さん
「人に興味を持てる人と、『私の仕事はここまで!』ではなく、お客様のためなら、自分で率先して
自然に動ける方に来てもらいたいです」
およそ一世紀。家族の絆とともに歴史を重ねてきた温泉宿が、この夏、生まれ変わります。これまでこの宿を支えてきたご家族と、未来を拓く新しい仲間たち。その想いが重なり、愛犬と過ごす至福のひとときを叶える宿として、新たな物語を刻みます。豊かな自然に抱かれた赤城山の懐で、誰もが飾らない笑顔でいられるこの場所で、あなたの夢を咲かせにきませんか。
(取材・執筆:水元 勇)
もしも、この宿ではたらいたら?
近隣情報
- 家賃相場
- 1K〜1DK(5.2万〜6.2万)
- 買い物
- スーパーマーケット(車で13分)、コンビニ(車で11分)
- その他施設
- 小学校(車で13分)、病院(車で13分)
- 交通情報
- 上毛電鉄大胡駅(車18分)
自治体情報
基本情報
数字で見る
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年間休日
108日
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スタッフ数
12名
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平均年齢
43.0歳
- 企業名
- 株式会社ケラススホテル&リョカン
- 企業所在地
- 〒371-0241
群馬県前橋市苗ケ島町2036 - 施設名
- 赤城山-懐-futokoro
- 客室数
- 14
- 従業員数
- 12名(2025.4.21現在)
- 設立
- 2017年7月5日
- 家賃補助
- あり(月/2万円の家賃補助(賃貸)、レントプログラムによる社宅借り上げ制度など)
- アクセス
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