旅館
古屋旅館
社員の幸せから始まる旅館の未来づくり
- 仲居

本日は東京駅から新幹線で約40分という近さにある熱海にやってきました。温泉はもちろんのこと、昭和レトロな喫茶店や食べ歩きが楽しめて、幅広い世代に人気の温泉観光地です。
多くの人々で賑わう商店街を抜け、海の方へのんびり15分ほど歩けば、立派な門構えが目を引く、「古屋旅館」にたどり着きました。こちらの旅館は、1806年の創業以来、この地で歴史を刻み続け、熱海を代表する老舗旅館として知られています。
伝統と革新が奏でる
老舗旅館ならではのおもてなし交響曲
古屋旅館七代目の代表取締役 内田 宗一郎さんにお話を伺いました。大学卒業後、大手銀行で札幌や大手町で企業のファイナンスの経験を積まれ、2003年に家業の「古屋旅館」に戻られました。
最初に目に飛び込んできた入口の門ですが、
とても素敵ですね!
「黒澤明監督の映画『影武者』で使用されたもので、古屋旅館のシンボルになっています。
実はお客様に譲ってもらったんです。『ここで撮影したの?』って、よく勘違いされますね」
古屋旅館に戻られた時の、
熱海はどんな状況でしたか?
「あの頃の熱海は廃墟も多くて、閑古鳥が飛んでいる様子がテレビで中継されたり、ワイドショーのネタになったりもしていました。『熱海の復活はない』なんて言われて、母と一緒に悔しい思いをしたものです」
そんな厳しい熱海でしたが、古屋旅館は老舗ということもあり、
良いお客様にも恵まれ、集客面ではそこまで困ってはいなかったそうです。
子供の頃から旅館業はよく見ていたと思いますが、
実際旅館に入られて、最初の印象はどうでしたか?
「銀行に入って多くの企業の決算書を見てきたので、どうしても比較してしまうんです。特に戻った頃の旅館はどこも厳しかった時代。うちは黒字経営でメインバンクからも、いい決算書という評価をいただいておりましたが、私は利幅も低いし、かなり厳しいなというのが最初の印象でした」
他の業界の決算書を多く見てきたからこそ、気付く視点なんですね。
では、職場環境はどうでしたか?
「古屋旅館は当時でも長時間働かせることはしてなくて、ウチはそこまでブラックではなかった。今でいう社員に寄り添った組織作りをしていました」
先代の時からそうだったんですね。
「そうですね、一儲けしてでっかい家を建てるとか、ドバイに別荘を持ちたいとか、ないんですよ(笑)。中の上くらいで生き残っていく。そういうほどほど感が昔からあって、それを実現するには、やっぱり人(社員)が何よりの資産で、きちんと人を確保して、みんなが無理なく仕事ができる環境を父の時代でも作っていました」
今は求職者が職場に求める条件なども変わってきたと思いますが、
社長が寮を今風にデザインされた記事を見かけたのですが。
「従業員の高齢化に伴って、若い人たちを採用することにしたんです。それで、面談して『いいな』と思った方が、寮を見たら辞退されちゃったことがあって。それをきっかけに、『こんな素敵な寮だったら、ここで働きたいって思ってくれるはず!』。そこから物件探しから始めて、外観とか内装のデザインまで、すごくこだわって造りました」
こんな素敵なお部屋なら、仕事の疲れも早く取れそうですね。
宿泊業界は離職率が高いデーターもあるようですが、
古屋旅館は低いそうですね。
「辞める要因を一度調べてみたら、一番の原因はクレーム対応がきっかけだったんです。ところがウチはありがたいことに、クレームが少ないので精神的な負担が少ないんです。あとは、一般的ですがやり甲斐と、先ほどの住まいに加えて、人並み以上のお給料。このあたりの組み合わせで、ウチは離職率が低いのかなと思っています」
古屋旅館では、従業員がより良い環境で働けるよう、給与と労働時間の両面から改善を進めています。給与面では、初任給を引き上げ、お客様からのチップをスタッフに分配。さらに、良い口コミ評価をいただいたスタッフにはインセンティブを支給しています。加えて、労働時間を見直し、夕食時間を18時に変更することで、従業員の負担軽減にも努めたそうです。
理念や社風などしっかり情報発信もしているそうですね。
「私の考えを、結構長々とホームページに書いているんですよ。読むのが面倒になるくらいの長さで
(笑)。でも、それを載せているおかげで、共感してくれる人がいたり、たまにですけど、『社長のファンで
す!』なんて言ってくれる方もいるんです」
古屋旅館ではインターシップ制度を導入しており、
まずは10日間働いてもらうそうですね。
「一緒に働く人との相性って、すごく大事にしているんです。有名なオーケストラでは、最初に『この人た
ちと演奏したいか』って聞くらしいんですよ。ウチでも、一緒に働く現場のスタッフの意見も聞いて、チー
ムワークを大切にしています」
綺麗な音色を奏でるのは現場で働く皆さんたちですもんね。
来年で創業220年を迎えますが、
今後やりたいことなどありますか?
「よく、『2軒目、3軒目は?』と聞かれるのですが、正直、あまり魅力を感じないんです。なぜなら、この古屋旅館自体が私にとって完璧な存在で、これ以上のものを創り上げるイメージが湧かないからです。ただ、現在市内でスイーツ店を展開していますが、将来的には不動産を購入して、例えば民泊など、旅館とのシナジー効果を生み出すといったことは考えています」
これからもこの地で『古屋旅館を筋肉質に日本一の旅館にする』という理念のもと、その力を街の活性化にも繋げようとされています。次の古屋旅館の挑戦を楽しみにしております!
経験より、想いが大切
熱海で見つけた、わたしらしい働き方
続いてお話を伺ったのは、今年3月に入社したばかりの接客係、満田 ゆりさんです。
以前は通訳・翻訳会社でAI翻訳や営業を経験し、その後は地元・埼玉県熊谷市の
ケーキ店で接客販売をしていました。
これまで熱海に来たこともない満田さんに
なぜ古屋旅館に入社したのかをお聞きしました。
「元々、日本と海外の架け橋になるのが夢でした。旅館を中心に就職活動をする中、老舗でありながらAIを活用したシフト管理など、新しい技術も取り入れている古屋旅館に魅力を感じて、入社を決意しました」
AIだと前職の経験も繋がりますしね。
最初に面談で会った内田社長の印象はどうでしたか?
「ホームページに書かれていることがきちんと実行されていて、社員のことをすごく大切にしているなって感じました。」
今は寮生活ですかね?
「綺麗な寮なので、リラックスできますし、家具や家電も付いているので、すぐに入居ができて良かったです」
あんな格好いい寮は
初めて見ましたよ!
ところで、旅館に入る前に抱いていた印象と違ったところはありましたか?
「入社前は、フロントの仕事はフロントだけ、接客係の仕事は接客係だけ、というように、それぞれの部署が別々に仕事をしているイメージでした。でも、実際に研修で色々な部署を回ってみて、フロントも接客係も、他の全ての部署が情報を共有して連携していることを知りました。それぞれの役割は違うけれど、お互いに協力し合うチームワークが本当に大切なんだと改めて感じました」
チームワークの大切さは、先ほど内田社長も話されていましたね。
古屋旅館のシフトは、月に9日、10日、11日、12日と、自分の希望する休日数を選べるのが特徴です。
急な出勤や残業もほとんどなく、さらに、AIやシステムを導入することで、ゆとりのある勤務体制を構築しているそうです。
ところで、温泉って従業員も入れるのですか?
「はい、お客様が少ない時間帯でしたら、大浴場で私も入っています」
こちらの施設は源泉ですし、いいですね。
そういえば和服を着ているスタッフさんもいらっしゃいましたが?
「お部屋を担当できると和服を着ることになります。今は研修中なのでこの制服を着ていますが、
大体3ヶ月で担当を持つようになるみたいです」
目安の3ヶ月まで、あともう少しですね!
こちらで印象に残っていることなどありますか?
「おすすめの観光スポットやお店を聞かれた時に、当館に置いてある『古屋旅館オリジナルのおすすめ観光マップ』をお渡して、ご案内をしたんです。そのお客様が翌日チェックアウトする時に『大変助かりました!案内してくれてありがとう』って言われた時は、とても嬉しかったです」
独自のおすすめ観光マップがあるのはいいですね!
観光情報も覚えなくてはですね
「そうなんです。休みの時は実際お店に行って食べたりして、私も観光気分で楽しんでいます(笑)」
ここで同じ接客係として、今年2年目を迎える岩下 智也さんにも、
参加してもらいました。茨城取手市出身の岩下さんは、子供の頃におじいちゃんたちと
よく熱海を訪れていたそうです。当時の旅行が非常に楽しかったことから、熱海で働くことを
夢見ていたとのことです。
先ほど満田さんにもお伺いしましたが、
最初内田社長に会った印象はどうでしたか?
「よく動画で見ていたので、有名人に会った感じでしたね(笑)。すごく緊張したんですが、気さくに話しかけてくれて、それでいて自分を学生ではなく、一人の大人として接してくれたので、格好いいなって思いました」
岩下さんは総合職として採用されましたが、
最初はフロントを半年経験した後、現在は唯一の男性接客係として
客室を担当しています。
「社長からは、性別に関わらず誰もが活躍できる職場を目指しているので、『岩下くんがその良い事例となるように期待している』と言われました」
そうですよね、ホテルだとバトラーなど性別関係ないですもんね。
初めて旅館で働くことに、不安はありませんでしたか?
「僕の場合は大学4年の夏に1ヶ月間のインターンシップに参加したおかげで、入社前から旅館の皆さんと仲良くなっていたんです。だから、実際に入社した時も温かく迎え入れてもらえて、とても心強かったです。「来たね!待っていたよ」と声もかけてもらえて、不安を感じることなく、スムーズに旅館の仕事に入ることができました」
未経験でも活躍できるのが宿泊業界。
不安な方もいると思いますが、何かメッセージはありますか?
-岩下さん
「僕も入社前は、老舗旅館というイメージから、少し怖い先輩がいるんじゃないかと想像していました。でも実際は、分からないことは親切に教えてもらえますし、失敗した時も励ましてもらえて、とても働きやすい環境です。もちろん、人間関係で苦労することはどんな職場でもあるかもしれませんが、あまり心配せずに、思い切って飛び込んでみてほしいですね」
-満田さん
「少しでも宿泊業界に興味があるなら、ぜひ思い切って挑戦してほしいです。特に接客が好きなら、直接お客様と関わり、素敵な出会いが生まれるこの仕事は、本当にやり甲斐を感じられます。少しでも気になる気持ちがあるなら、ためらわずに飛び込んできてほしいですね。きっと、素晴らしい経験ができると思いますよ」
そういう点ではこちらではインターシップ制度もあるので、
挑戦しやすいですよね。
古屋旅館の役職は部門ごとに副リーダー、リーダー、支配人と
比較的シンプルな役職です。
近い将来、お二人はきっと良いリーダーになっているんでしょうね。
-岩下さん
「いやぁ、僕なんか満田さんにすぐ追い抜かれちゃいますよ(笑)。」
-満田さん
「いえいえ、覚えることがまだまだたくさんあって、そんな大役はとても…!でも、もし岩下さんがリーダーになられたら、私は迷わずついていきます!(笑)」
きっとこの先、お二人が古屋旅館やお客様のために、協力しあって、
中心メンバーとして、活躍している姿が目に浮かんできます。
200年以上続く古屋旅館ですが、常に新しい視点を取り入れ、『社員の幸せを第一に考える』をコンセプトに、働く仲間との調和を大切にする温かい社風の中で、あなたも美しい音色を奏でる一員として、この老舗旅館の新たな歴史を共に創りませんか。
(取材・執筆:水元 勇)
もしも、この宿ではたらいたら?
近隣情報
- 家賃相場
- IK〜1DK(5万〜7.5万)
- 買い物
- 熱海市内中心部の立地で買い物や公共機関へのアクセスが容易です。徒歩にて(市役所5分・郵便局7分・コンビニ3分・スーパー2分・ドラッグストア2分・熱海駅10分・繁華街5分)
- 交通情報
- ・熱海駅から徒歩15分/車5分
自治体情報
ギャラリー
基本情報
数字で見る
-
平均残業時間
20時間
-
年間休日
108日
-
平均勤続年数
8年
-
年間有給休暇
取得率100%
-
スタッフ数
60名
-
男女比
4 : 6
-
外国籍の人数
1人
-
平均年齢
37.8歳
- 企業名
- 株式会社古屋旅館
- 企業所在地
- 〒413-0012
静岡県熱海市東海岸町5-24 - 施設名
- 古屋旅館
- 客室数
- 26
- 従業員数
- 60
- 設立
- 1806年(法人化:1925年11月15日)
- 家賃補助
- 月1万円の補助あり
- アクセス
-