旅館

四万温泉 柏屋旅館 (新業態の宿泊施設「くすしき」開業予定)

温泉街を、リ・デザインする 湯けむりに包まれて未来を編む宿

  • フロント
  • 接客/サービス
  • 調理人/厨房

山あいに湯けむりが立ちのぼり、観光地でありながら人々の暮らしの気配が今も息づく、群馬県・四万温泉。この温泉地で長年にわたり地域とともに歩んできたのが、柏屋です。1950年に「柏屋衣料店」として産声を上げ、1976年には温泉口地区に「柏屋旅館」を開業。その後も衣料店は2002年まで営業を続け、同年、新たに「柏屋カフェ」として生まれ変わりました。

さらに2022年にはピッツェリア「シマテラス」をオープンし、2026年夏には、これまでにない新業態の宿泊施設「くすしき」の開業を控えています。時代とともに形を変えながら、四万温泉の魅力を発信し続ける「柏屋旅館」。地域活性化の一翼を担うこの場所で、いま、どのような人々が働いているのでしょうか。

合言葉は「Nポジ(ニュートラルポジション)」
無理のない笑顔が、最高の接客になる

形を変えながらも、四万温泉という場所で事業を続けてきた柏屋。
その中心に立つのが、代表取締役の柏原 益夫さんです。

柏屋さんは衣料店から始まり、旅館業へと転換されていますが、
柏原さんご自身は最初から旅館で働かれていたのでしょうか。

「いえ、まったく違う仕事をしていました(笑)。工学部出身で、15年くらい車のメーカーで電子制御の仕事をしていたんです」
家業に入ったのは1997年。
もともと経営そのものに興味はあったものの、旅館業はまったくの未経験でした。

実際に旅館に入ってみて、最初はどう感じましたか?

「正直、何をやったらいいのか全然わからなかったですね(笑)」

そう振り返りつつ、柏原さんは当時を淡々と語ります。

「広告費もほとんどゼロでしたから、まずは紙媒体に広告を出したり、ホームページを作ったりしました。前職でプログラミングをやっていたので、当時は自分で全部作れたんですよ。今みたいにデザイン要素もなかったですし」

個人旅行者への発信を強化しながら、露天風呂付き客室の整備や改装を進め、
団体客中心だった宿を、少しずつ個人客へとシフト。
そうした流れの中で、2007年に社長へ就任しました。



社長になってから、働き方の面で変えたことはありますか?

「最初に手をつけたのは、長期休暇ですね。この業界はどうしても『休みが少ない』と言われがちですが、その中でも7日間の連続休暇が取れるようにしました」

その流れで、社員旅行や社内レクリエーションも少しずつ増やしていったとか。

「新潟に行ったり、韓国に行ったり。最初は『本当に行くんですか?』って驚かれましたけど(笑)。」



宿泊業界で海外の社員旅行は、なかなか珍しいですよね。

「そうですよね。でも、仕事を離れて一緒に時間を過ごすと、関係性が変わるんですよ。役職とか立場とかが一度リセットされる感じがあって」

バーベキューなどのレクリエーションも、特別なイベントとして構えているわけではありません。
「仲良くなるため」というより、『お互いを知るための時間』だと柏原さんは言います。

「仕事だけしていると、その人の一面しか見えない。でも、人って本当はいろんな顔を持っているじゃないですか。そういうのを知っていると、現場でも動きやすくなるんですよね」

年間休日の拡充や社員寮の整備など、
働きやすい環境づくりにも少しずつ手を入れてきました。

「宿も人も、無理をすると続かないですから。派手なことはできないですけど、“続けられるかどうか”は、いつも考えています」



柏屋さんは旅館だけでなく、カフェやピッツェリアなども展開されていますが、
今後の構想はありますか?
「四万温泉も空き家が増えてきています。全部を一気に変えるのは難しいですが、まずは200メートルくらいの範囲で、少しずつお店が点在している状態をつくれたらいいなと」

実際に、寮の1階では、かつて柏屋旅館で働いていたスタッフが
小さなお店を始める予定もあるそうです。

「温泉街をぶらぶら歩いて、立ち寄れる場所がある。そんな空気が戻ってくるといいですね」

柏原さんはここ2年ほど、街歩きガイドやネイチャーガイドとしても活動し、
四万温泉全体の魅力を伝える取り組みを続けています。

もし柏屋旅館に入社した場合、どんな流れで仕事を覚えていくのでしょうか。

「ジョブローテーションやOJTですね。フロントや接客を経験しながら、旅館だけでなく、カフェやピッツェリアなど複数の店舗も回ってもらいます。せっかくいろいろな業態があるので、その強みを生かした経験をしてほしいです」

柏屋旅館には、漁業関係や塗装業など、異業種出身のスタッフも多く在籍しています。
それぞれの経験が、現場で自然と生かされていると言います。



最後にどんな方に来てもらいたいか
お聞きしました。

「一番大切なことを挙げるとすれば、やはり“笑顔”ですね。ありがちかもしれませんが、とても重要だと思っています。接客業ですので、私たちは『Nポジ(ニュートラルポジション)』と呼んでいるのですが、特に何もしていないときでも、自然と少しやわらいだ表情でいられること。そんな、無理のない笑顔が自然に出る方に来ていただきたいですね」

取材を通して感じたのは、柏原さんの言葉の端々にあった『無理をしない』という感覚でした。
成長や挑戦を語りながらも、どこか肩の力が抜けていて、仕事と暮らしが地続きになっている。
四万温泉で柏屋が続いてきた理由が、少しだけわかった気がしました。

自然の呼吸を、皿に写す。四万の土に根を張り
一滴の濁りもない「誠実」を刻む

続いては、四万温泉で生まれ育った料理長・唐沢 明さんです。 
親族に板前がいた縁でこの道へ。新聞配達をしながら夢を追ったひたむきな
歩みと、料理への想いを伺いました。



料理人としての第一歩は、どちらでスタートされたのですか?

「修行の始まりは草津のホテルでした。ただ、毎日同じ作業の繰り返しで……。結局、免許を取るタイミングで一度区切りをつけ、地元に戻ることにしたんです。 その後、四万温泉のホテルでお世話になり、2年半ほど修行を積みました。ちょうど改装の時期に重なり、仙台から来られた板前さんに本格的な技術を教えていただいたのが、大きな転機になりましたね」

その出会いが今の基礎になっているのですね。
こうして料理の世界で約40年腕を磨き、2020年に
柏屋旅館に入社されました。何かきっかけがあったのですか?

「実は入社前、別の旅館にいた頃から柏屋旅館の前を通るたび、『いつも電気がついていて満室ですごいな』と一目置いていたんです。正直、自分に務まるだろうかという不安もありましたが、求人を見て応募しました。実は母ちゃん(妻)が清掃の仕事をしていた縁もあり、お声がけをいただいたのがきっかけですね」


これまで色々ご経験を積まれてきましたが、
柏屋旅館に入って印象はどうでしたか?

「俺が来た当時は、お料理の価格設定もかなり控えめでした。厨房の役割がまだ十分には注目されていないのかな、と感じる部分もあったかな。だからこそ、自分の経験を活かして、もっと食の魅力を高めていけるはずだと思ったんです」

こうして少しずつ、柏屋旅館の料理も変化していきます。

「俺は昔気質の人間ですから、家族を養わせていただいている以上、旅館にいる間は精一杯の仕事をしたいと考えています。適当なことはしたくないんです。今、特に意識しているのは『今の体制でできる、最高の仕事』をすることです。現在は2人体制ですので、あえて2人で完璧に仕上げられる献立にこだわっています。無理をして工程を増やし、お客様をお待たせしたり、質を落としたりしては、ご迷惑になってしまいますから」



料理以外で柏屋旅館の
印象はどうですか?

「社長は本当にすごい方だと思いますね。この不景気な時代に、社員旅行や懇親会など、スタッフが交流できる場を大切にしてくれています。今時、そうした場を設ける旅館は少ないですから、素晴らしいことですよね。従業員同士の仲も本当にいいですよ。私は年寄りなので、若い人たちの輪にはなかなか入っていけないのですが(笑)、いつも感心しながら見ています」

韓国にも行っていますしね!
ところでお休みの日はどのように過ごされているのですか?

「休みの日も、結構忙しくて大変なんですよ。自分の家で畑と田んぼをやっているんです。お米はうちで作ったものを、旅館でも使ってもらっています。以前は野菜も出していたんですが、最近は生産者番号の登録など手続きが厳しくなってしまって……。厨房という限られた空間の中でずっと仕事をしていますから、外に出て自然に触れるのは、俺にとって一番のストレス解消になっています!」



自然の中でリセットされた感性が、
柏屋旅館の新しい一皿にも活かされているのですね。
シイタケ一つとっても、地元の食材を大切に使う。
そんな唐沢さんの『四万の旬』へのこだわりが、
食べる人の心に響く美味しさの秘密なのだと感じた時間でした。

海を越えて気づいた、日本文化の誇り。
世界を知る若い感性で、日本の宿をアップデートする

最後にお話を伺ったのは2023年に新卒で入社し、
接客からフロント、管理までマルチに活躍されている佐藤 悠歩(ゆうほ)さんです。



栃木のご出身ということですが、
なぜ四万温泉に来られたのですか?

「きっかけは、ある種の偶然かもしれません。大学時代にニュージーランドの大学へ通っていたのですが、外の世界を見たことで、逆に日本の旅館業やサービス業の魅力に強く惹かれるようになったんです。日本に戻り、最初に出会ったのが四万温泉のインターンでした。実際に足を運んでみると、この土地の雰囲気や働きやすさが自分にぴったりだと感じて。直感に近い形でしたが、それが四万温泉を選んだ決め手になりましたね」

インターンで働き始めて
印象はどうでしたか?

「柏屋の第一印象は、若いスタッフが多くて活気があることでした。インターンで同世代の方がフレンドリーに案内してくれたのが心強く、『ここなら楽しく働けそう』と直感したんです。実は、旅館の世界って『怖い女将さんや厳しいしきたりがあるのでは』という先入観があったのですが、実際は真逆でした(笑)。ベテランのパートさんも本当に優しくて、そんな温かいギャップが決め手になりましたね」



確かに、旅館の世界って『厳しくて伝統に縛られている』というイメージ、
あるあるですよね(笑)。
今は寮生活されているのですか?

「生活環境もすごく快適なんです。寮が職場から近いですし、Wi-Fi完備なのも嬉しいですね。家賃は月2万円かかるのですが、水道光熱費やWi-Fi代はすべて会社が負担してくれているんです。さらに食費も、希望すれば会社が補助してくれるお弁当を1食150円ほどで注文できて。お昼も夕食も取れるので、節約しようと思えば本当に生活費を抑えられるんですよ」

そうして恵まれた生活環境の中、得意の英語を活かして着実に経験を積んできた佐藤さん。
その成長は目覚ましく、入社3年目という若さながら、
現在はマネージャー研修に励んでいるとか。


「そうなんです。今、一つ上の先輩と一緒にマネイジメントの勉強中なんです。これまでは接客が中心でしたが、これからは現場だけでなく、旅館全体を支えるマネイジメント業務にも携わっていくことになります。責任も大きくなりますが、手当などの面でも会社がしっかりと評価してくれるので、とてもやりがいを感じています」



もしかしたら、柏屋旅館の「マネージャー第一号」になるかも
しれないんですね!

マネージャー研修以外に
今後チャレンジしてみたいことはありますか?

「個人的に猫が好きで、実は『ねこ検定』を受けようと思っているんです。それから、ウイスキーの資格にも興味があって勉強したいなと」

猫ですか!?

「仕事に直結するわけではありませんが、知識が増えればお客様との会話のきっかけにもなりますしね。
自分の『好き』を深めることが、結果的にどこかで誰かを喜ばせることに繋がればいいなと思っています」

いつか四万温泉に猫カフェが誕生する日も、
柏屋なら夢ではないかもしれませんね!
ちなみに柏屋旅館には資格手当もあり、
スタッフの『学び』を全力でサポートしているそうです。

現場で気づいた問題や改善点などは、どのように共有し、
解決されているのでしょうか?

「一番は、グループLINEなどで情報共有を活発にすることです。気づいた課題をすぐに共有し、みんなで改善していく文化を大切にしています。また、柏屋には海外スタッフも多いので、文面だけでは伝わりにくいこともあります。上層部の想いや方針を現場へ届けるときは、一人ひとりと直接顔を合わせ、口頭で丁寧に伝える『架け橋』のような役割を意識しています」

ここでも佐藤さんの英語スキルが
活かされているのですね。



どんな方に仲間になってほしいですか? 
また、どんな方がこの旅館に合っていると思いますか?

「接客が好きという気持ちはもちろん大切ですが、柏屋旅館は規模の小さい宿だからこそ、一人ひとりが周りに気を配り、みんなで支え合っていく姿勢が欠かせません。自分一人で完結させる『個人プレー』よりも、お客様はもちろん、一緒に働く仲間のことも大切にできる方ですね。周囲を思いやり、チーム全体のバランスを考えて動ける方なら、きっと柏屋で自分らしく活躍できると思います」

英語という強みを持ち、入社3年目でマネージャー候補として活躍するスピード感。
その一方で、現場では「一人ひとりと直接対話する温かさ」を何より大切にする姿勢に、
次世代リーダーとしての頼もしさを感じました。

四万温泉の豊かな自然の中で、時代に合わせて柔軟に姿を変えてきた柏屋。ここで働く人々に共通していたのは、「等身大の自分で、お客様や仲間と向き合う」という健やかな姿勢でした。
「誰かを支えたい」「自分らしく成長したい」。そんなシンプルな想いを力に変えて、
あなたも柏屋旅館で一緒に歩んでみませんか。

(取材・執筆:水元 勇)



 



 





 



 







 

もしもこの宿ではたらいたら?

近隣情報

家賃相場
2LDK(5.9万〜)
買い物
スーパー(車で20分)、ヤマザキショップ(800m)
その他施設
郵便局 (徒歩3分)、病院(150m)
交通情報
・清流の湯入り口バス停(徒歩3分)
・中之条駅(車で30分)

自治体情報

基本情報

数字で見る

  • 平均残業時間

    4時間

  • 年間休日

    104

  • 平均勤続年数

    8

  • スタッフ数

    21

  • 外国籍の人数

    5

  • 平均年齢

    38.0

企業名
有限会社 柏屋 (柏屋グローバルグループ)
企業所在地
〒377-0601
群馬県吾妻郡中之条町四万3829
施設名
四万温泉 柏屋旅館 (新業態の宿泊施設「くすしき」開業予定)
客室数
14
従業員数
20
設立
1977年4月26日
従業員寮

・寮完備(住み込みOK)

※寮費20000円、水光熱費会社負担、駐車場・WiFiあり

アクセス

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