仕事
ホテル・旅館の接客用語20選!フロントで使える言葉と正しい敬語を解説
2026.10.06
ホテル・旅館の予約業務は、単にお客様からの予約を受け付けるだけではありません。電話や公式サイト、旅行予約サイトなどから入る予約を管理し、宿泊日や人数、客室タイプ、食事内容などを確認する仕事です。例えば、旅館に「大人2名・子ども1名、夕食付き」の予約が入った場合、客室の準備だけでなく、夕食の人数や子ども用の食事、アレルギーの有無などを確認する必要があります。その情報はフロントだけでなく、調理場やレストラン、客室清掃など、さまざまな部署にも関係します。つまり予約業務は、お客様が安心して宿泊できるよう、宿全体の準備を整える大切な仕事なのです。
ホテル・旅館の予約は、公式サイトや電話、旅行予約サイトなど、さまざまな経路から入ります。まずは予約の入り方に関する用語を覚えましょう。
① OTA(オーティーエー)
OTAとは「Online Travel Agent」の略で、インターネット上で宿泊施設や旅行商品を予約できる旅行会社・予約サービスのことです。
代表的なものには、楽天トラベル、じゃらんnet、Booking.comなどがあります。
ホテル・旅館では、OTA経由の予約を日常的に管理する施設も多くあります。
<現場での使用例>
「楽天トラベルから新しい予約が入りました」
「OTAの予約内容と宿泊者情報を確認してください」
OTAによって予約内容の確認方法や変更手続きが異なることもあるため、各サービスの仕組みを理解しておくことが大切です。
② 直予約(直接予約・直販)
ホテル・旅館の公式サイトや電話などを通じて、お客様が施設へ直接申し込む予約のことです。
OTAなどを経由しないため、一般的に外部予約サイトへの販売手数料を抑えやすいという特徴があります。ただし、自社予約システムの利用料や決済手数料などが発生する場合もあります。
<現場での使用例>
「このお客様は公式サイトからの直予約です」
「電話予約のお客様に確認のご連絡をお願いします」
施設によっては、公式サイト限定の宿泊プランや会員特典を用意している場合もありす。
③ ウォークイン
事前予約をせず、ホテル・旅館へ直接来館して宿泊を希望するお客様、またはその予約形態を指します。
例えば、旅行中に宿泊先を探しているお客様が、フロントで当日の空室を問い合わせるケースです。
<現場での使用例>
「ウォークインのお客様がいらっしゃいました」
ウォークインの場合は、空室状況や料金、チェックイン可能な時間などを確認して対応します。旅館では、夕食の準備が必要な場合もあるため、客室に空きがあっても食事付きプランを提供できるとは限りません。
④ 予約確認(リコンファーム)
予約確認とは、宿泊日や人数、宿泊プランなどの予約内容を確認することです。
特に「リコンファーム」は、すでに成立している予約内容を改めて確認する意味で使われます。
<現場での使用例>
「到着時間について、お客様にリコンファームをお願いします」
「連泊のお客様の予約内容を確認してください」
すべての予約で再確認が必要なわけではありませんが、到着時間が遅い場合や、特別な食事対応が必要な場合などに行われることがあります。
【コラム】「OTAとは?ホテル・旅館業界でよく聞く“OTA”を初心者向け」編
ホテル・旅館では、食事の有無や宿泊日数によって、さまざまなプランが用意されています。予約担当だけでなく、接客スタッフも知っておきたい用語です。
⑤ 素泊まり
夕食や朝食などの食事が付かず、宿泊のみを提供するプランのことです。
ビジネス利用や、旅行先で自由に食事を楽しみたいお客様などに選ばれています。
<現場での使用例>
「こちらのお客様は素泊まりプランです」
食事付きプランと間違えないよう、予約内容を確認することが大切です。
⑥ 1泊2食付き
1泊の宿泊に、一般的に夕食と翌朝の朝食が含まれるプランのことです。旅館ではよく見られる宿泊スタイルの一つです。
<現場での使用例>
「こちらのお客様は1泊2食付きでご予約されています」
食事時間や会場、アレルギー情報などを確認し、必要な部署と共有します。
特に夕食の提供時間が決まっている旅館では、チェックイン予定時刻の確認も重要です。
⑦ デイユース
宿泊を伴わず、日中などの一定時間だけ客室や施設を利用するプランのことです。テレワークや休憩、日帰り温泉など、施設によって利用目的はさまざまです。
<現場での使用例>
「本日はデイユースのお客様が2組いらっしゃいます」
宿泊のお客様とは利用時間やサービス内容が異なるため、案内を間違えないようにしましょう。
⑧ 連泊(ステイ)
連泊とは、同じ宿泊施設に2泊以上続けて滞在することです。また、ホテルでは「ステイ」という言葉が滞在や在室状況を表す際に使われることもあります。
<現場での使用例>
「こちらのお客様は3連泊です」
「ステイ中のお部屋なので、清掃方法を確認してください」
連泊のお客様の場合、客室清掃のタイミングやタオル交換、食事内容などが通常の1泊利用とは異なる場合があります。なお、「ステイ」の具体的な意味や使い方は施設によって異なります。
予約管理では、客室の空き状況や予約変更、キャンセルなどに対応します。ここでは、実際のフロント業務で耳にすることが多い用語を紹介します。
⑨ オーバーブッキング
ホテル・旅館で販売可能な客室数を超えて予約を受け付けてしまう「過剰予約」のことです。例えば、販売できる客室が10室しかないにもかかわらず、11室分の予約が入っている状態です。
<現場での使用例>
「オーバーブッキングが発生していないか確認してください」
複数の予約サイトで客室を販売している場合、在庫情報の更新が間に合わないことなどが原因になる場合もあります。オーバーブッキングが発生すると、お客様に予約どおりの客室を提供できなくなる可能性があります。そのため、予約状況を正確に管理することが重要です。
⑩ ノーショー(No-show)
予約していたお客様が、事前の連絡なく宿泊当日に現れないことです。
<現場での使用例>
「昨日の予約でノーショーが1件ありました」
ノーショーが発生した場合は、予約経路やキャンセルポリシーなどを確認し、施設のルールに沿って対応します。キャンセル料の取り扱いは宿泊プランや予約条件によって異なるため、必ずしも一律ではありません。
⑪ キャンセルポリシー
宿泊予約を取り消す際の条件や、キャンセル料の発生時期・金額などを定めた規定のことです。例えば、「宿泊日の3日前からキャンセル料が発生する」といったルールです。
<現場での使用例>
「キャンセルポリシーをご確認ください」
「こちらのプランは通常のキャンセル規定と異なります」
予約経路やプランによって条件が異なる場合があるため、お客様から問い合わせを受けた際は正確に確認する必要があります。
⑫ アサイン(ルームアサイン)
予約したお客様に対して、実際に利用する客室を割り当てることです。例えば、同じツインルームでも、階数や眺望、エレベーターからの距離などが異なる場合があります。
<現場での使用例>
「明日のチェックイン分の部屋をアサインしてください」
「連泊のお客様は同じお部屋でアサインできていますか?」
客室の割り当ては、予約内容やお客様の希望、清掃状況などを考慮して行います。
⑬ アップグレード
お客様が予約した客室よりも、上位グレードの客室を提供することです。例えば、スタンダードツインを予約したお客様に、デラックスツインを案内するケースです。
<現場での使用例>
「本日はお部屋をアップグレードしてご案内します」
無料で提供する場合もあれば、追加料金をいただく場合もあります。スタッフ個人の判断ではなく、施設のルールや責任者の指示に従って対応することが大切です。
⑭ ルームタイプ(客室タイプ)
客室の種類を表す言葉です。シングル、ツイン、ダブル、和室、和洋室などが代表的です。
<現場での使用例>
「ご予約のルームタイプはツインです」
「和洋室への変更をご希望されています」
客室タイプによって、ベッドの数や広さ、設備などが異なります。
特に、ツインとダブルは間違えやすいので注意しましょう。
【コラム】「ホテル・旅館の接客用語20選!フロントで使える言葉と正しい敬語を解説」編
【コラム】「ホテル・旅館の客室タイプを解説!ツイン・ダブル・和洋室などの違い」編
ホテル・旅館では、予約情報や客室の販売状況を管理するために、さまざまなシステムを利用しています。未経験の方は、まずそれぞれの役割を理解しておきましょう。
⑮ PMS(ピーエムエス)
PMSとは「Property Management System」の略で、ホテル・旅館の予約情報や宿泊者情報、客室状況、精算などを管理するシステムのことです。
<現場での使用例>
「PMSでお客様の予約内容を確認してください」
施設によって導入しているシステムや機能は異なりますが、フロント業務を支える重要な仕組みの一つです。
⑯ サイトコントローラー
複数の宿泊予約サイトの客室在庫や料金などを、まとめて管理するためのシステムです。
例えば、公式サイト以外に楽天トラベルやじゃらんnetなどで客室を販売している場合、予約が入るたびに各サイトの在庫を手動で変更するのは大変です。サイトコントローラーを利用すると、対応する予約サイト間で在庫情報などを連携できます。
<現場での使用例>
「サイトコントローラーの在庫を確認してください」
ただし、システム連携の設定や更新状況によっては、情報にずれが生じることもあります。
⑰ 在庫(客室在庫)
ホテル・旅館で販売できる客室数を指します。
例えば、全20室の旅館で、ある日に15室の予約が入っていれば、単純計算では残り5室です。ただし、修繕中の客室や販売停止中の客室がある場合などは、実際に販売できる数が異なります。
<現場での使用例>
「週末の客室在庫を確認してください」
「満室になったので、販売を停止してください」
客室在庫を正しく管理することは、オーバーブッキングを防ぐためにも大切です。
⑱ インスペクション
客室清掃が終わったあと、お客様を迎えられる状態になっているか確認する「客室点検」のことです。清掃の仕上がりや備品の不足、設備の不具合などをチェックします。
<現場での使用例>
「この客室はインスペクションが完了していますか?」
予約管理そのものの用語ではありませんが、客室の準備状況を確認するうえで、フロントスタッフも知っておきたい言葉です。チェックイン時刻が近づいている場合などは、清掃担当との情報共有が重要になります。
最後に、ホテル・旅館の料金や売上に関する用語を紹介します。予約担当だけでなく、フロントスタッフが料金の仕組みを理解するうえでも役立ちます。
⑲ ADR(エーディーアール)
ADRとは「Average Daily Rate」の略で、販売した客室1室あたりの平均客室単価を表す指標です。基本的には、次の計算式で求めます。
ADR = 客室売上 ÷ 販売客室数
例えば、1日の客室売上が30万円で、販売した客室が15室の場合、ADRは20,000円となります。
<現場での使用例>
「今月のADRは先月より上がっています」
ADRは、客室がどのくらいの単価で販売されているかを把握するために使われます。
⑳ RevPAR(レヴパー)
RevPARとは「Revenue Per Available Room」の略で、販売可能な客室1室あたりの客室売上を表す指標です。基本的には、次の計算式で求めます。
RevPAR = 客室売上 ÷ 販売可能客室数
また、ADRと客室稼働率を使って計算することもできます。
例えば、1日の客室売上が30万円、販売可能客室数が20室の場合、RevPARは15,000円となります。
<現場での使用例>
「今月は客室稼働率が上がり、RevPARも改善しました」
ADRが販売した客室の平均単価を示すのに対し、RevPARは売れなかった客室も含めた収益状況を把握するための指標です。フロントスタッフが日常的に計算するとは限りませんが、宿泊施設の売上管理を理解するうえで役立つ用語です。
ここまで20の予約関連用語を紹介してきました。専門用語を覚えるメリットは、単に先輩スタッフとの会話が分かるようになることだけではありません。
例えば、
予約業務では次のような流れで仕事が進みます。
1. 予約が入る
公式サイトやOTAから予約を受け付け、PMSなどで内容を確認する
2. 宿泊準備を進める
食事内容や宿泊人数、客室タイプなどを確認し、関係部署へ情報を共有する
3. 客室を準備する
お客様の希望などを考慮して客室をアサインし、清掃・点検状況を確認する
4. チェックインを迎える
予約内容を確認し、客室や食事時間などを案内する
このように、一つの予約に対して、フロントや予約担当だけでなく、調理、接客、客室清掃など、さまざまなスタッフが関わっています。予約用語を理解することは、ホテル・旅館がどのように連携してお客様を迎えているのかを知ることにもつながるのです。
ホテル・旅館の求人を見ていると、「予約管理」「電話対応」「PMS操作」「OTA管理」などの仕事内容が記載されていることがあります。初めて宿泊業界で働く方にとっては、難しそうに感じるかもしれません。しかし、予約業務の担当範囲は施設によって異なりす。
例えば、
フロントスタッフがチェックイン対応と予約管理を兼任するホテルもあれば、予約専門の部署を設けている施設もあります。
また、小規模な旅館では、予約受付からお客様のお迎え、食事の案内まで、幅広い業務を担当する場合もあります。
そのため、求人を見る際には、次のような点を確認しておくとよいでしょう。
- 予約管理はフロントスタッフが担当するのか
- 電話予約や問い合わせ対応はどのくらいあるのか
- PMSなどのシステム操作は入社後に教えてもらえるのか
- 予約内容の変更やキャンセル対応は誰が判断するのか
- 予約担当とほかの部署はどのように情報共有しているのか
専門用語を知っていることも大切ですが、入社後にどのような業務を担当し、どのように仕事を覚えていくのかを確認することも、自分に合った職場選びにつながります。
求人票に「フロント業務全般」「予約管理業務」と書かれていても、実際にどこまでの仕事を担当するのかは、施設によって異なります。「もし宿」では、掲載するホテル・旅館を実際に訪問し、働くスタッフの皆さんに仕事内容や職場の雰囲気などを取材しています。例えば、同じフロントスタッフでも、予約受付を中心に担当する施設もあれば、チェックイン対応やレストランサービスなど、複数の業務を兼任する施設もあります。大切なのは、求人票に書かれた職種名だけで判断するのではなく、その宿で働く自分の一日をイメージできるかどうかです。「もし宿」では、これからも現地取材を通じて、仕事内容や働き方、職場の雰囲気をできるだけ具体的にお伝えしていきます。
ホテル・旅館の予約業務では、OTAや直予約、アサイン、オーバーブッキングなど、さまざまな専門用語が使われています。最初から20の用語をすべて覚える必要はありません。まずは、予約がどこから入り、どのように管理され、お客様を迎える準備につながっていくのかを理解することから始めましょう。分からない用語が出てきたら、そのままにせず、先輩スタッフに確認することも大切です。専門用語を覚えることは、仕事の流れを理解する第一歩。これからホテル・旅館で働く方も、少しずつ知識を増やしながら、自分らしい接客や仕事のスタイルを身につけていってください。