【宿で働く人インタビュー】 車販売から旅館へ。前職の経験を生かし接客部門の要的存在に 吉川屋 接客部フロントサービス課 課長 熊倉典雄さん
2026.07.03
自動車販売の仕事からUターンで地元の老舗旅館へ

福島屈指の温泉地、飯坂温泉から車で約5分。「奥飯坂温泉」の別名を持つ、穴原温泉にある吉川屋。創業は天保12年(1841年)で、創業185年となる老舗旅館です。県内最大級の大浴場と、摺上川のせせらぎを聞きながら入る野趣あふれる露天風呂、旬の素材をふんだんに使用したこだわりの料理が魅力の宿。
そんな吉川屋で、接客部フロントサービス課の課長として働くのが熊倉さん。自らフロントに立つのはもちろん、課長としてフロントスタッフを中心に夕食会場やそのほか館内全体の接客に目を配り、指示を出すのがお仕事です。
「転職して10年ほどになります。もともとは名古屋で中古車販売の仕事をしていました。家庭の事情でUターンすることになりまして、仕事を探す中で吉川屋の求人を見つけ、即応募しました」
同じ自動車販売のお仕事に就くこともできたと思いますが、あえて全く違う宿泊業界の仕事を選んだのはどうしてなのでしょうか。
「業種は違うんですが接客の仕事が好きだったということと、物を売るのとは全く違う仕事に純粋に興味があったんです。また、僕の地元がこの飯坂ということもありまして、この街自体がすごく馴染みのある場所でしたし。もちろん、歴史ある旅館で昔から知っていたこともあって、ぜひこちらにお世話になりたいと思ったんですね」
異業種からの転職者も活躍できる環境がある
接客の経験はあったものの、まったく初めての環境に最初は戸惑うことも多かったのだとか。
「一番苦労したのは旅館独自の用語です。入社当初は全然わからなくて、それを一から覚えるのが結構大変でしたね。上司だった当時の係長が教育係のような感じでマンツーマンで付いてくださり、丁寧に教えていただきました。わからないことはすぐに聞ける環境なのでその点はすごく助かりましたね」
旅館というと上下関係が厳しそうなイメージがありますが、こちらではスタッフ同士の仲良く働いている様子に、いい意味で驚いたのだそうです。

「自分もそう思っていたところがあったんですが、本当にそんなことはなく、みんなすごく仲がいいんです。フロント担当のスタッフもあまり私を上司だと思っていなくて、普段から『くまちゃん』って呼ばれているんです(笑)。そういった関係性もあって、なんでも気軽に相談できますし、話せる環境になっています。それが当館の強みであり、いいところだなと思いますね」
また立場上、新人スタッフの教育を担当することもあるそうですが、その際には前職の経験も生きていると言います。
「前職では店長をしていたんですが、その時から今でも必ずやっていることがあるんです。それはスタッフとのコミュニケーションを大切にすること。朝出社してまずみんなに声をかけます。その会話の中で、そのスタッフのその日の体調だったりコンディションだったりがわかったりします。それは前職の経験を生かせているところですかね。また、フロントはお客様と接する機会が特に多いんですが、初めてだとうまく言葉が出なかったり、頭が真っ白になってしまうという人も多いんです。自分は前職でもお客さんと会話しながら車を販売するというのが仕事だったので、お客様の前でも緊張することなくはじめから接客ができたのも経験が生きていると思います」
このように未経験でも気軽に相談や質問ができ、前職の経験を生かして働けるような環境があるため、吉川屋では熊倉さん以外にも、アパレル業界、広告業界といった異業種からの転職組も活躍されているとのことでした。
管理職ならではのやりがいや苦労も
前職の経験を生かし、現在ではフロント業務の要的な存在として活躍する熊倉さんに、仕事のやりがいについて聞いてみると…。

「宿の仕事としては、やはりお客様に『ありがとう』と言っていただけたときです。お帰りの際などに『ゆっくりできたよ』『また来るね』といったお言葉をいただいたときは、やっていてよかったなと思います。そのためには、お客様にどれだけ寄り添って対応できるかが重要なんですが、お客様は一人ひとり違いますので、それにどうやって対応していくかがこの仕事の大変な点、難しさなのかなと感じています」
管理職ならではのやりがいや苦労はどのようなところにあるのでしょうか?
「やりがいは部下の成長です。もうそれが一番! 何もわからずに入ってきたスタッフが、一人で何でもこなせるようになっていく姿を見るのがすごくうれしいですね。本当にみんな頑張ってくれているので、それを見守るのが僕のやりがいです。大変なのは、全体をきちんと見て的確な指示をしないといけないという点でしょうか。スタッフの管理をしつつ、自分も現場のプレイヤーとしてしっかり動けるように心がけながら働いています」
できるだけ長く現場で働き続けたい

管理職として面接などの採用活動に関わることもあるそうですが、そんなときに熊倉さんが注目しているのは、その人の「笑顔」なんだそう。
「実際に話してみて、話し方や雰囲気などから『この人いいな』と思うこともありますが、やはりまずは笑顔を見ます。特にフロントの業務はお客様と接する機会が多く、吉川屋の顔のような位置づけですので、大変ながらも笑顔で楽しく働いてもらえるような人にきてほしいと思います」
また宿の仕事でキャリアアップするためのコツを伺うと…。
「僕の場合は本当に何も考えていなくて、現場でがむしゃらにやってきた感じです。本当にお客様に喜んでいただくことを第一に考えながら日々、現場で対応していました。当館は社長をはじめ上の人たちがそういった頑張りをきちんと見ていてくれるので、頑張れば必ず結果につながる環境だと思います。あとは客観的に見ていて、現場で自分で考えて臨機応変に動ける人、あとやる気がある人はキャリアアップが早いなと感じています」
最後に熊倉さんの今後の目標を教えていただきました。
「できる限り、頑張れる限り、現場でプレイヤーとしてやっていきたいなと思っています。どうしても管理職になると、後ろに一歩引いて、裏で事務作業をしたりすることが多くなってしまうんですけれども、そうじゃなく、自分はやれるうちは現場に出て頑張りたいなと。接客という仕事は日々勉強だと思っていますので、それを大事にしながらこれからも働いていきたいと思います」
異業種から転職し、前職の経験も活かしながら宿で活躍する熊倉さんのお話、いかがでしたか? 異業種、未経験でも宿泊業界の仕事に興味があるなら、ぜひ求人もチェックしてみてくださいね。
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■吉川屋
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