人とテクノロジーで 未来の扉を開く

ホテルに泊まるとき、まずはフロントで対面のチェックインを思い浮かべますよね。でも、株式会社リクリエが運営するホテル「fav（ファブ）熊本」では、お客様自身でチェックインをするスタイルが採用されており、22時以降は無人のホテルになります。

株式会社リクリエは２０１６年に生まれたまだ新しい企業ですが、３１施設のホテルを展開し、成長を続けています。九州から東京まで広がるホテル事業の中で、この宿泊業界では遅れていると言われているDX化を積極的に進めながら、上場を目指しています。
こうした新しい運営スタイルのホテルには、どんな方たちがはたらいているのでしょうか。

半年後、１年後の自分が想像できない
だから面白い

まずは人事部のご担当者様にお話をお伺いしました。
※ご本人のご希望により、お名前は伏せております。
当初はホテルでの対面取材を予定しておりましたが、お子さまのご都合で、
福岡の本社オフィスよりお電話での取材に変更となりました。

「すいません、今日はそちらに行けなくて！」

いえいえ、大丈夫です。
この会社に入社されたのは、いつ頃でしょうか？

「ちょうど５ヶ月目ですかね、前職はゲーム業界で採用担当をしていました。宿泊業界は全くの初めてで。」

５ヶ月目ですか！
どうしてこの会社に入ろうと思ったのですか？

「まず感じたのがチャレンジングなことをしている会社だなと。それと、自分が次のステージに行くためにも、色々と挑戦出来そうだなと思ったからです。」

すでに、予算の作成や、教育も任され、今日も『人事部の責任者を任せる』と言われたそうで、まさに、様々なチャレンジを日々されています。

「まさか、私が予算を作成したり、人事部の責任者に任命されるとは思っていなかったです。
5ヶ月前には全く想像していませんでした（笑）」

宿泊業界に入って感じたことや、驚いたことはありますか？

「採用のときに少し驚いたのが、ホテル業界だからといってホテル経験者ばかりが集まるわけではなく、実際には異業種からの応募者がとても多かったことです。うちに入社した方でも、カメラマンや、IT業界、元大手ショッピングモールの出身者など、本当様々ですね」

カメラマンだとホテルの撮影でも重宝されそうですね。
ホテルの仕事って、フロントや接客サービスだけでなく、システムなどたくさんありますよね。

「本当、私もそう思います！私はホテルの仕事ってビジネススキルがすごく身に付く仕事だと思います。ロジカルな思考が求められるし、企画力や人を育てるマネジメント能力もそうですし、開発だと不動産の知識も必要になってきますので、ビジネスマンとしても成長できる仕事だなって」

異業種からの入社が多いということですが、
未経験率ってどのくらいでしょうか？

「支配人だけでいうと今、７人いますが、未経験者は４人なので、６０％弱くらいですかね。アルバイト上がりの支配人もいるんですよ」



入社して数か月から1年で支配人になれるように、オペレーションの仕組み作りにも力を入れているそうで、実際こちらの施設も、アルバイトで入社したスタッフが、わずか半年後には支配人になったそうです。

現在は人事の責任者として、制度の見直しもチャレンジしているとか。

「『色んなホテルを勉強してもらいたい』ということで宿泊支援制度や、書籍購入制度は元々あったのですが、今、トライアルしているのがMBO（目標管理）の導入や、給与制度の見直しもしています。結果を出している人を、きちんと評価できる会社であれば、そこに信頼も生まれると思うんです」

最後にもの凄いスピードで成長しているリクリエですが、
この会社のビジョンとか、今後の展望をお聞きしました。

「うちの代表が大分県で過疎化が、進んでいるのを見たのがきっかけで起業しました。『人を活性化させるためには、事業を残す必要がある』という想いで、現在は次世代に残すためにホテルをやっています。DX化を進めこの業界に革新が起きれば、それが一つのきっかけとなり、その先は他の分野でもどんどん発展していくと思っています」



2028年に上場を目指しているそうで、ホテル事業が活性化できたら、次の事業展開に動くと話します。
「おそらくこの会社は次の事業にいくと思います。例えば農業とか。1年、2年後、一体どうなっているか想像できないですね！」と明るく語ってくれました。
 

ワーキングホリデーの目的地はここだった
ここから始まる新しい冒険

アルバイトから半年で支配人になった話を聞くために、
このホテルにあるカフェラウンジに向かいました。



明るい笑顔で出迎えてくれたのが静岡出身で元々、東京のスポーツジムで
トレーナーをやっていた鷲巣　友亮さんです。

去年３月にアルバイトで入って、今や支配人ですよね。

「僕もびっくりしました！元々ワーキングホリデーで、海外に将来行くための資金作りで、入社したのですが、会社が『それでもいいよ！』って、自分の夢を応援してくれて」

京都のホテルでアルバイトしたのが、初めての宿泊業界だそうですが、
実際どうでした、不安とかありませんでしたか？

「その点でいうと、ワーホリで海外に行くのが目的だったので、手段の一つしかくらいしか考えていなかったんです。接客面でもトレーナー時代に色んな方を対応していたので、あまり不安はなかったですね。」

九州には一昨年の１月にやってきた鷲巣さんは、
「語学を勉強するならホテルで」と思い、街を歩いていたら、このホテルの前を偶然通ったそうです。

「海外の人たちが出て来たので、このホテルは海外のゲストが多いのかなって感じたんです。熊本市内には他にもインバウンドが、多いホテルはあると思いますが、ここはビジネスホテルとも違って、カフェもあるし、ここが自分には合っているなって」

「ワーホリはもう行かない」。はたらきだしたら、どんどん面白くなってきて、
今はこの会社でスキルを上げて、いろいろなチャレンジをしていきたいそうです。

そんな鷲巣さんに会社の特徴や、面白いところをお聞きしました。

「一言で言ったらスピード感ですかね。早いなって！最初は見よう見まねでやっていましたが、基本は自分スタイルでやっています。もちろん間違っていたらアドバイスもしてくれるし、答えや方法は自分で探していく。もちろんそれが嫌な人もいると思いますが、自分のやり方で仕事ができるのが魅力ですね」

確かにスピード感がありますよね、半年後には支配人ですから。
これからやってみたいことなどありますか？

「ホテルもどんどん増えていって、会社がどんどん大きくなっています。これから飲食事業もやって、サウナも展開し、次にこの会社は何をするんだろうって、ワクワクしちゃうんです（笑）」

『半年後の、自分の姿が想像できない』。それも、この会社の魅力の一つかもしれませんね。




ここのカフェラウンジもとても素敵な雰囲気ですが、
地域と一緒に何か取り組みなどされていますか？

「カフェラウンジのスペースを貸し出しており、先日は工芸品や陶芸、アートなどの展示会を開催しました」

いいですね、熊本は魅力あるコンテンツがたくさんありますしね。
鷲巣さんも、前職の経験を活かして、ここでトレーニング教室とかできますね。

「あっ、それ、いいですね！海外のお客さまにもジムの場所をよく聞かれるので。うちは長期滞在のゲストも多いので、客室にランドリーが備わっているのですが、バランスボールなど置くのもいいですね」

企画やアイデアを出したら、この会社は基本通るそうで、そこも好きなところだとか。
京都のホテルでは、意見はなかなか言えなかったそうです。

「京都では上司や先輩の意見が優先されて、言いづらい環境でした。今の自分も分からないことだらけなので、清掃さんにも聞きますし、社員、バイト関係なくアドバイスをもらっています。それこそ、自販機を補充してくれる業者さんも入れた、みんなでこのホテルを創っていけたらと思っています。」



このカフェランジで鷲津さんがトレーニング教室を開催するときは、Instagramにもあげてくださいね。
楽しみにしております。
 

お客さまとの出会いが
私の未来を広げてくれる

リクリエが運営しているホテルでは、たくさんのアルバイトの方が活躍しています。
中原　未来さんも昨年2月からここ「fav熊本」で活躍している一人です。



鷲巣さんより、先輩じゃないですか。
こちらではたらく前は、何をされていたのですか？

「そうなんですよ（笑）。飲食店やカフェなどでアルバイトをしていました。接客業で人と話すのが好きなんですが、これまで経験したことのない仕事に挑戦したいと思い、入社を決めました」

初めてのホテルでの仕事はどうでしたか？

「想像していた以上に、海外のお客様が多いのに驚きました。最初の頃は言語を丸暗記していましたが、最近は少しずつですが、コミュニケーションもできるようになってきました」

中国語の勉強も始めた中原さん。勉強方法はアプリの他に、
もう一つあるとか。

「最近仲良くなった台湾のお客さまに、このカフェで教えてもらって、私は日本語を教えています。結構その方、スパルタなんですが（笑）」

言葉を覚えるのは、それが一番早いですよね！
ところでこのホテルを選んだ理由は？

「アパートメントタイプのホテルで、セルフチェックインなど省人化もやっていて、結構ハイテクなところもあるし、カフェラウンジがあってお客さまとの交流ができるのも、お気に入りポイントです」

宿泊業界に入る不安はなかったですか？

「ホテルは２４時間なので夜勤とかもあるのかな？と思っていたのですが、『夜勤はないですよ！』って言われて、えっ！て驚きました」

22：00以降はホテルにスタッフは常駐せず、
福岡にあるコールセンターが対応しているそうです。

「iPadが置いているので不在時は、お客さま自身で問い合わせなどしてもらっています。私はここではたらく前は、もっとお客さま中心のサポートをするイメージを持っていましたが、ここはお客様自身ができることは、セルフでやってもらっているので、その点もイメージとはだいぶ違いましたね。」

シフトは朝番が６：３０〜１５：３０、遅番は１３：００〜２２：００で
残業もあまりないので、プライベートの予定も組みやすいそうです。

ホテリエとしての目標などありますか？

「私はお客さまともっと深く関わりを持ちたいなって。このホテルで働き始めたことで海外への興味が広がり、現在勉強している言語を活かして、お客様が気軽に話しかけてくれるような接客スキルを身に付けたいと思っています。そして自分もお客さまも、一緒に楽しめたら最高ですね。このホテルならそれが実現できると思っています」

いつかお客さまと一緒に海外旅行しているかもですね！

「それは夢ですね、なんなら現地集合して（笑）」



熊本にできた台湾の半導体会社のお客さまと、長期宿泊をきっかけに仲良くなり、今では家族ぐるみで一緒に夕食に行くほどの中原さんなら、その夢もきっと近いうちに叶いそうですね。

DXなどのデジタル技術だけでなく、日本にある「土地」や「人」の資源を最大に活かして、
新たな価値を創出しているリクリエ。今後は飲食事業も立ち上がるそうです。
あなたも得意なコトを活かして、一緒に革新をもたらしに来ませんか。
 

(取材／執筆：水元　勇）